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豊かな生活
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現代社会に生きる私たちにとって、科学・技術の進歩によって受ける恩恵は計り知れないものがあります。遠方へは短時間で移動でき、夏は涼しく冬は暖かい暮らしができます。情報は電波やケーブルで瞬く間に届き、広がります。そのおかげで昔に比べると、物理的にははるかに豊かな生活を送ることができるのです。しかしその一方で、失っているものもたくさんあることを忘れてはなりません。
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思考力・判断力
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人をすぐ殴ったり殺したりしてしまう事件が、毎日のように報道されます。何故でしょうか？例えば気に入らないことがあったとき、その情報は脳へ電気信号として刺激されます。本来ならこれを処理し、どうすべきか判断し、決定した意思を行動に移すのですが、このプロセスを経ないで行動を起こしてしまうと、とんでもないことになるのです。善悪の区別はつかず、回避するための言動も意識に上ってきません。そして結果は最悪の事態となってしまいます。これは行動を起こしたその人個人の責任というより、この反応系統を作り出し、育んでしまった環境、社会全体の責任といったほうがいいかもしれません。
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ゆとり
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ストレスを受けたとき、それをしっかり処理できるだけの時間のゆとりがあるでしょうか？コンピューターは今まで１時間かかってやっていた仕事を、１分でやってのけるかもしれませんが、人間の脳はそんなに器用ではありません。勿論コンピューター以上の能力も持っていますが、それでも時間という横軸は必要不可欠です。私たちを取り巻く様々な時間は短縮され、本来なら増えているはずの＜ゆとり＞は情報の渦に巻き込まれ、かえって失われつつあります。「時間が解決してくれる」という言い方を最近では聞かなくなりました。しかしこれは、場合によってはとても大切なことです。
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